指輪物語 ーあなたの海になりたいー
「なんだかすごい、重々しい雰囲気になっちゃったなー」
そう言いながら図書室に入って来たのは、寛太だった。
「あー、こっちも立入禁止かー」
「あぁ、夏前には壊されることになってる」
「そうか……。思い出の場所なのにな」
「……」
図書室に隣接されていた生徒会室は、もっと広い違う階に引っ越しすることになっていた。
この小さな生徒会室は壊され、この本棚に囲まれた個室のようになった場所も本棚を移動し、一つの広い図書室になるということだ。
優也兄ちゃんもヒサ先輩も使っていたこの机も椅子も、新しいものになるそうだ。