友達以上…
 キン…と音がするんじゃないかと思うくらい朝の澄んだ空気が冷たくて、私はマフラーの中に埋まるように首をすくめた。

 雲ひとつない澄み渡った青空。まさにデート日和。

 私は、待ち合わせのカフェに入ると、辺りを見回した。

(りく)…は、まだ来てないか。

空席の目立つ店内を確認して、私は温かいカフェラテを注文する。

店員から温かいカップを受け取ると、両手で包み込むように持ち、入り口の見える2人がけのテーブルに着く。

あたたかい…

私は、それをすぐに飲むことなく、しばらく両手で抱えて、手を温めた。


 それから程なくして、自動ドアが開き、陸が入ってきた。

私は、笑顔で手を挙げる。

けれど……

陸の後ろから現れたのは、昨日も私が、一日中一緒だった女性。

「原課長」

私は思わず、彼女の名を呼んだ。

陸は笑顔で私の横に立ち、

「おはよ。
 俺たちも飲み物買ってくるよ」

とさらりと告げて、カウンターに向かう。

そして、当然のように、原課長もそのあとに続いた。

< 1 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop