懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
手ごわい相手に宣戦布告



翌日の早朝、亮介はひとり実家の門をくぐった。
目的はただひとつ。里帆とのことを報告するためだ。

玄関のドアを開けると家政婦が出迎え、すぐに母の喜代(きよ)が駆けつける。


「亮介ったら、こんな朝早くにどうしたの?」


その昔、キャビンアテンダントとして国際線に乗務していた喜代は、還暦を迎えてもその美しさは衰え知らず。洗練された雰囲気を漂わせ、ショートカットがよく似合う。


「父さんは? 話したいことがあるんだ」


隆一の辞書には重役出勤という言葉がない。毎朝決まって七時過ぎには家を出て、会社に着くなり何種類もの新聞に目を通すのがお決まりのスタイルである。
その隆一と朝のうちに自宅で話をしたいなら、七時までに捕まえなくてはならない。


「隆一さんならリビングでコーヒーを飲んでるわ」


喜代はいったいなにかしら?というふうに首をかしげた。

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