懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


せめて亮介には、振り向かずに前だけを向いてほしいから。未練は彼の邪魔になる。

成島はもう一度封筒と里帆を見てから「わかりました」と受け取り、踵を返した。

苦しくて苦しくて息ができない。
胸がかきむしられているような痛みに襲われる。

報われない恋だと知っていた。今、里帆をじりじりと照りつけている太陽のように、亮介は大きくて遠い存在。手の届かない人。そう知っていた。

ひとときの恋が終わりを告げる。その片割れも知らぬ間に。

里帆は容赦なく太陽が降り注ぐ公園からしばらく動けなかった。


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