たとえば、こんな人生も
『……そうか、落ち着いたならなによりだ』

『はい』

『それで、いつき
『欲しいもの』は手に入りそうかい?』

『……どうでしょう
俺はあの子以外は望まないし
諦める気はないですけど』

『あの子が…ひなたが本当に嫌だと言うなら
『諦める』ことも考えないといけませんね』

『ひなたの返事は聞いてないのかい?』

『はい。
あの子は今、他にやることがいっぱいなので
……自分のこれからを必死に考えてる』


『俺のことは後回しで構わないんです』


『今は、あの子が笑っていてくれるだけで』




シン君の口から伝えられた言葉に
また胸がきゅーってなる

時折、感じるこの感覚

痛いとか苦しいとか
そういう嫌な感じじゃなくて

……なんて現したらいいんだろう


…………『切ない』に似てるけど
悲しくも、苦しくもなくて……

けど

どうしてか、泣きたくなるような…



「…」

「お前、返事してやらねーの?」

「シン兄、余計な口はさまないの
ひなといつきの問題でしょ」

「いいよ、まこちゃん」


胸に手を置いて、ぼんやりしてると
シン君が不思議そうに聞いてきて

まこちゃんが私を気にして
間に入ってくれたけど、私はそれを拒んだ
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