白雪姫に極甘な毒リンゴを
お弁当交換

☆六花side☆


「六花、おはよ」


「桃ちゃ~ん」


 月曜日の朝。教室にて。


 心のドキドキがどうしてもおさまらなくて、
 桃ちゃんの胸に飛び込んだ。


「どうした? 六花?
 また一颯先輩に、何か言われた?」


 泣きそうな私の瞳を見つめ、
 桃ちゃんは心配そうな顔をした。


「ちがうの……

 今日ね……お弁当交換することになったの……

 七星くんと……」


 5秒後。



「ええぇぇぇぇぇ!!!!」



 桃ちゃんの叫び声が、教室中に響き渡り、
 クラスにいた全員が私たちの方を見た。


 って言っても、まだ4人くらいしか、
 教室にいないけど。


「いつの間に、そんなことに」


「私の誕生会の時だよ。

 桃ちゃんが、
 お兄ちゃんとクルミちゃんを
 2階に連れて行ってくれた時」


 桃ちゃんは、
 ニヤリと目を細めて微笑んだ。


「私のおかげだね~」


 桃ちゃん……
 その顔……怖いです……


 何か企んでいるのが……
 鈍い私にもバレバレです……


「じゃあさ、七星くんに渡すお弁当に、
 手紙入れちゃおっか」


 やっぱり、
 とんでもないことを企んでた!!!!


 そんな女子力が高いこと……
 私にはできませ~ん……


「ムリ!ムリ!
 手紙なんて……そんな……」


 気持ちを込めて抵抗してみる。


 もちろん彼女は、
 私の泣き言くらいじゃ
 暴走が止まらないことは、
 私が一番よく知っているのだけど……


「別に、
 告白しなって言っているわけじゃないよ。

 書くことなんてなんでもいいから。
 『雨だね』とか『テスト近いね』とか
 なんでも」


「え?

 『雨だね』ってだけ書いたら、
 『だから何?』って思われちゃうよ」


「例えの話! 

 手紙を入れるだけで、
 喜ばれるんだから!絶対に!

 はい! 
 このメッセージカード、使っていいからさ」


 自分の席に座る私の前で、
 桃ちゃんは私を監視している。


 これ、書き終わるまで、
 解放してもらえないパターンじゃん。


「桃ちゃん、わかったから…… 
 書くから……
 後ろ向いていて……」


 どうしよう…… 


 なんて書こう……


 私が教室の一番後ろの窓際の席で、
 メッセージカードとにらめっこをしている時
 教室の前のドアから、
 七星くんとクルミちゃんが入ってきた。


 あ……


 七星くんが私を見て……

 笑ってくれた……


 それなのに
 恥ずかしくて、恥ずかしくて、
 急いで視線をそらしてしまった……

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