元カレと再恋愛ってありですか?
その道何十年という職人相手に交渉をするのにはかなりのエネルギーがいる。

紗那のデザインは今の人、未来の人に受け入れてもらえるようなデザインのものや、使用する素材も造り方も新しいものが多い。その中で職人気質と自分の考えをすり合わせていくのにはいつも苦戦していた。

紗那は棟梁の目の前でパンツスーツ姿のまま地面に座った。
ついさっきまで降っていた雨でスーツはすぐに泥んこになる。

「ずっといます。私。」

棟梁は小さくため息をついて現場へと戻って行った。

紗那は唇をかみしめながらその場に座り続ける。

たとえ再び雨が降ってきても紗那はその場から離れなかった。


「おいっ!」
後ろから声がかかり紗那が振り向くとそこには棟梁が立っていた。
「今すぐその新しい木材とやら、もってこい」
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