元カレと再恋愛ってありですか?
番外編~妊活編~
隣で眠る紗那の頬をそっと撫でる。疲れ切って憔悴しているその顔に奏介は心が痛んだ。

ここ数日、紗那はほとんど眠れていないことは知っている。

だからこそ今はそっと寝かせてやりたい。

奏介は飛行機の中、座席を倒している紗那にかけられた毛布をかけなおした。

「奥様の体調はいかがですか?」
遠慮がちに奏介に小声で声をかけるのは事情を知っている客室乗務員。
奏介は飛行機に乗り込む前に紗那の体調について航空会社へ伝えていた。

いつパニック発作を起こすかもしれない紗那を連れて飛行機に乗ることは、奏介も躊躇した。

それでも前に進むためには必要なことだと、意を決して飛行機に紗那と乗り込んだ。
もちろん万全の準備は整えている。

「ありがとうございます。今、眠ったので大丈夫です。」
奏介が客室乗務員に声をかけた。
「何かあったらいつでもお申し付けくださいね」
「ありがとうございます。」
客室乗務員に奏介が笑顔を向けるとそれ以上の笑顔で答えてくれた。
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