オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
もしも。もしも本当に先生が、オレの実の母

親だったとしたら、先生はどんな思いでオレ

にあの手紙を書いたのだろう。

「蓮人?本当に行くのか?」

「あぁ。」

オレはこれから施設に行く。早織ちゃんと一

緒に、全てを知るために。

「ももちゃんには話してるの?」

「まだ。全部がわかってからちゃんと話す。

もものこと大切にしたいからこそ、ちゃんと

話すって決めた。」

たくさん悩んだ末に出した答えはただ一つ。

オレはこの先もずっとももと一緒にいたい。

この前みたいな誤解が生まれないように。も

もがオレの隣で笑っていられるように。

「蓮人がそう決めたなら止めない。でも、一

つ約束して。」

「なに?」

「蓮人の整理ができたらでいい。ももちゃん

の後でもいいから、ちゃんとオレにも教え

て。」

龍也の真剣な眼差しは、オレを心から思って

くれていることがわかる。

「わかった。」

龍也の優しさを受け止めて、オレは施設に向

かった。

「こんにちは。蓮人さん。」

「こんにちは。」

施設の前には、緊張した面持ちで早織ちゃん

が待っていた。

「大丈夫?」

早織ちゃんは手が真っ赤になるほどこぶしを

握り、必死に涙を堪えているように見える。

そんなの当然だよな。まだ高校生の女の子が

抱えるには重すぎる。

「大丈夫です。覚悟は決めたので。」

「オレもいるから大丈夫。」
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