オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~

可愛い新人アルバイト ~龍也side~

細い路地に建つ小さなカフェ「raspberry」。

このお店が醸し出す不思議な空気に、オレは

一瞬で引き込まれた。

アルバイトを始めてから2年ほどが経ち、店

は知る人ぞ知る隠れ家カフェとなった。

春の匂いを感じるころ、カフェの前にぽつん

と立つ少女と出逢う。

長い黒髪が風になびいて見えた横顔は、幼い

ながらも綺麗な顔立ちをしていた。

オレは彼女の少し寂しげな表情に知らぬ間に

見惚れていた。

「お店、入りませんか?」

オレは、一人立ち尽くす彼女に声をかけて、

店内に案内した。

彼女は席に着くと、アルバイト求人を広げて

頭を悩ませている。

「ここでバイトしてみない?」

自分でも驚くセリフのオンパレード。

初めは表情も硬く、弱弱しい返事ばかりだっ

たが、少しずつ笑顔を見せてくれて、一緒に

働くことが決まった。

この日、オレは「ももちゃん」に一目惚れし

た。

ももちゃんと一緒に働くようになってから、

オレの親友の蓮人がももちゃんを好きだと知

ってしまった。

蓮人は施設で育ち、人間不信だと自分で言っ

ていた。そんな蓮人が誰かを好きになったの

は素直に嬉しかった。なのになぜ、好きにな

った人がももちゃんなんだよ。

それでもオレは、ももちゃんだけは誰にも渡

したくない。

ある朝、蓮人をカフェに呼び出し、宣戦布告

した。

お互い正々堂々と戦うことを誓った。
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