オオカミ様VS王子様 ~私を賭けたラブゲーム~
「蓮人さんっ…!」

恥ずかしくて顔、見れないよ…。

「ももがかわいいこと言うのが悪い。」

意地悪く笑う蓮人さんが、私の手を引いて歩

き出す。

蓮人さんは意地悪だったけど…。

こんなに甘々だったっけ…?

「さっきの言葉、忘れんなよ。」

余裕そうに話す蓮人さんだけど、耳がほんの

りピンク色になっていて。

私だけが照れてるわけじゃないんだってわか

って心臓がとくんと高鳴った。

教室に入ると、中庭での後夜祭の音が窓から

流れてくる。

「どうぞ!」

蓮人さんの前に、フルーツタルトとココアを

並べて、蓮人さんの反応を待つ。

「美味いな。」

なんだか、ケーキ食べてる蓮人さん、子供み

たいで可愛い。

今までは、蓮人さんは大人でクールでかっこ

よくて、私がすごく子供みたいに思ってたけ

ど。意外といたずらが好きだったり、拗ねる

とすぐに顔に出たり。自分と同じように子供

っぽいところもあるのが嬉しい。

「おい、何見てんの?」

「えっ?」

私、蓮人さんに見惚れてた??

「あんまり可愛い顔されると、オレ我慢でき

なくなるから。」

蓮人さんが立ち上がると、スラっと伸びた両

腕が私を抱きすくめる。

「もも、好き。」

ずっと欲しかった言葉が耳に直接注がれる。

「私も、蓮人さんが好きです。」

二人きりの教室で、お互いの体を想いごと抱

きしめた。
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