初めての to be continued…
5. 5年前 4月
春。
大学の入学式に出席した後に会場を出ると、サークルの勧誘チラシが大量に配られた。
背が高いせいか、スポーツ系のサークルの人達が、熱心に勧誘してくる。
中学・高校とバスケ部にいたが、大学でまでやる気はなかったし、他のスポーツもあまり興味はなかった。
チラシは断り切れずにもらうだけ。家に帰ったらゴミ箱行きだった。
サークルとか、入った方がいいんだろうが、いまいちピンと来なくて、どこにも入らずに約一週間たった頃。
友達もまだいなくて、学内を1人で歩いていたら、ちょっとしつこいサークル勧誘につかまってしまった。
断っているのに解放してくれない。
逃げ腰になっていたら、いつのまにか校舎の壁際まで追い詰められた。
困ってしまい、もう走って逃げようかと思った時だった。

上から、白い物がひらひら降ってきた。

紙だった。A4サイズで、なにか文章が印刷されている。

最初は1枚。

その後、ゆっくりと、何枚か降ってきて。

俺を逃がすまいと追い詰めていた先輩に向かって、ドサーッと大量の紙が落ちてきたのだ。

痛い、これは痛い。
先輩は下を向いて、声も出せずにいる。

「ごめんなさーい、大丈夫ですかー?」

上から、声が降ってきた。
見上げると、2階の窓から顔を出している人がいる。
女性だ。顔は逆光で見えない。
謝ってるけど、わざとだ。白々しさ満点だった。

「坂下!なんだよお前!」
紙が当たった先輩が、上に向かって怒鳴っている。
「ごめんごめん、すぐ行くー」
その人の顔が引っ込んだ。
落ちてきた紙は、俺と先輩の周りに散らばっている。
「いってーなもう……なんだこれ、あいつのレポート……だけじゃねえな」
先輩は、ぶつぶつ言いながら拾い始めた。
レポートにしては量が多過ぎる。よく見たら、使用済みのような紙の方が多かった。200枚はありそうだ。




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