隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
◆◇FIRST×STORY◇◆

「……どうも」




◆◇◆





夏休み明け。

まだまだ太陽が照り付ける今日。



私、朝桐楓音(Asagiri Kanon)は、教室でぼっち飯の真っ最中。



心の中では、先ほどから、エンドレスでこう叫んでいる。




出遅れてるっ…!私、完全に、出遅れてるよ…!




グループを作って、楽しそうにお弁当を食べる周囲の中、ポツンと私一人。



……最悪だっ!

こうなったのも全部、お母さんのせいなんだからね!




―――遡ること、入学式当日。




憧れていた高校生活が始まることに、胸を膨らませ帰宅をすると、



「あっ、おかえり楓音ちゃん。入学式どうだった?」


「へ?あ、うん、楽しかったけど……ところで、お母さん。そこにある、どでかいキャリーケースは一体なにごと……?」



しかも、いつもよりお化粧がばっちり決まっている。

よそ行きの服まで着ちゃってる。



「え?忘れちゃったの?これからシンジさんと、新婚旅行に行くのよ」


「えっ……!今から…!?」



ちなみに、シンジさんというのは、お母さんの再婚相手だ。(※三回目)



目を真ん丸にさせ驚いていると、二階からシンジさんがドタバタと降りてくる。



お父さんと呼ぶのは年頃の私にとってまだハードルが高くて…。


少々他人行儀ではあるが、シンジさんと呼ばせてもらってる。



ちなみに、私の苗字である朝桐は、母の旧姓であり、シンジさんの苗字は片岡という。
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