隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「……バイバイ」
「斎宮くん……待って…速いよ……っ」
手を繋いで走っていた僅か数分間。
数分だったくせに、私にとってはすごく長い時間に感じて。
色んな気持ちがぐちゃぐちゃに混ざり合った時間だった。
「……ここまで来れば大丈夫か」
そう呟いて、ようやく止まってくれたのは人気のない空き教室だった。
掴まれていた手もいつの間にか自然と離れる。
どうして私はこんなところに連れて来られたのだろう…。
はやく、太陽くんのもとへ戻らないと……。
「あ、あの…斎宮くん、まだ私に話があるって……」
斎宮くんは自分の正体が太陽くんにバレてるって知らないはずなのに。
……こんな、大胆な行動というかなんというか。
なんでこんなことしてるの……?
「あー…あれ嘘」
「へ?う、嘘……?」
う、嘘ってどういうこと……?
目をぱちくりさせる私に、斎宮くんは少し気まずそうに指先で髪をいじる。
「……もう少し、朝桐と二人でいたかったから」
「なっ、なにそれ……」