隣の席でキミと秘密の甘い恋【完】
「楓音は、俺と付き合う代わりに、斎宮の秘密を誰にも話さないってそういう約束したんだよね」


「……っ!」



なんだよそれ…。

なんでそんなこと朝桐が勝手に決めてんだよ……。



胸に重っ苦しいものがのしかかったようだった。



頭がグラグラして、吐き気がして。



無性に自分のことを殴りたくなった。



「……なんで、わざわざそんなこと俺に言ったんだ?」



頭が回らない。

考え浮かばない。



色んなことを知って、感情がぐちゃぐちゃだ……っ。



平賀がなにを考えてるのか俺には意図が読めない。



言わなければ俺はずっと気づかないままだったのに。

なんでわざわざそんなことを……。



「ん~……あえて言うなら宣戦布告ってやつ?」


「は?」


「俺、それくらい本気で楓音のことが好きだから。斎宮にも、誰にだって楓音のことは奪わせない」



…すごい自信だね。

……平賀は、本気で朝桐のことが好きなんだ。



だから、敢えて俺に言ってきたってわけか。



「朝桐の気持ちはどうなるんだよ」


「楓音もきっと俺のことが好きだよ」



その言葉を否定するだけの自信が俺にはない。

俺は、楓音のこともなんにも知らないのだ。



だけど……こんなことを聞かされて、黙って何もしないほど、俺はいい人なんかじゃない。



「……俺が朝桐を奪うって言ったら?」


「ん~……本当にそんなこと出来るの?楓音がせっかく斎宮の素顔を隠してくれてたのに、その努力を踏みにじるんだよ?つまり、斎宮の正体がみんなにバレるんだよ?そんな覚悟、本当にあるのかな」
< 184 / 211 >

この作品をシェア

pagetop