エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「そういうことは、もっと内密に打診するもんだ」

「もう全員わかってるんだからいいだろ」


宏希さんは社長を継ぐべく業務が増えたので専務業に専念することになり、そういう話になっている。

しかも、部員全員が沖さんの部長就任を薄々察している。


最近では〝浅海、沖ライン〟とかいう、出世コースの直下に入りたいと躍起になる社員が続々と名乗りを上げていて、仕事が厳しくて有名な営業統括部への配置換え希望者が続出しているとか。


「はー。結婚も昇進も電撃的」

「ワクワクするだろ?」


ニヤリと笑って余裕の返事をしている宏希さんに、沖さんが苦笑いしている。

営業統括部の人たちは皆、このふたりが昔からこんな感じだと知っているので動じることもないが、他部署の人たちが見たら焦るかもしれない。


「それで、この前の契約だけど……」


それからふたりは神妙の面持ちで別件について話し始めた。

沖さんは宏希さんが社長に就任したら、間違いなく右腕となって動いてくれるような人。

私はこのふたりの活躍を近くで見ていられるだけで幸せだ。
< 310 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop