リペイントオレンジ🍊

消えないあの日のオレンジ



***


───無事に退院して、2週間。
今までと変わらない生活を送っているのも、菅野さんのおかげだ。


そんな菅野さんは先週、改めて消防署までお礼を伝えに言った私を"ムダに律儀なやつ"と意地悪な顔で笑った。

だけど、そんな意地悪な顔に……やっぱり好きだなぁなんて思ったりして。



「あれ?尾崎ちゃんじゃないか?」

「……あ、堀さん!こんばんは!」


───夜。
仕事終わりに近所のスーパーへ寄った私が遭遇したのは、消防署の署長……堀さん。

たった今考えていた菅野さんの紛れもない直属の上司だ。


「夜ご飯の買い出しかい?」

「はい。って言っても、まだ何にするか決まってないんですけど」


まだ何も入っていないカゴの中をチラリと見れば、同じく堀さんも私のカゴの中を見る。


「それならちょうど良かった!うちでこのまま一杯どうだい?今日はもう1人お客が来ることになってるんだ」

「え、でも……いいんですか?」

「うちのかみさんの作るご飯は日本一美味いからぜひ食べに来て」


惚気まじりに笑う堀さんが微笑ましくて、気づけば私も笑顔でコクリと頷いていた。
< 101 / 133 >

この作品をシェア

pagetop