リペイントオレンジ🍊



気づいた時には、完全に出来上がっていた。
冷静な自分も確かにいるのに、それを跳ね除けて、酔っ払いの私が体と脳の大半を操っている。


「送っていくよ」と言ってくれた榊先生に、「飲ませすぎたのは私だから、責任もって菅野に送らせるよ」って、堀さんが提案してくれて……


菅野さんは、心底嫌そうな顔でため息ついたっけ。



「おい!どっちだ?」

「……あれぇ?ここ、どこですか?」

「はぁ?」

「あれぇ、もしかして菅野しゃん、迷子?」

「……お前なぁ」



確かに、道案内をしていたのは私で、ちゃんと家の場所を伝えていたはずなのに。


目の前には見覚えのない道。
そして、背中越しでも分かる呆れた様子の菅野さん。


そして、こんな時だってのに段々と、薄れていく意識……。あぁ……ダメだ、完全に眠くなって来ちゃった。



「菅野しゃん、眠い……」

「はぁ?今寝んなよ!?」

「……ん〜、分かってますよ〜……だい、じょ……ぶ」



ほんの少し、目をつぶるだけ。
寝たりなんかしませんから───。
< 39 / 133 >

この作品をシェア

pagetop