12月24日の天使
「二人とも凄い。
片目見えないのに、普通に生活して……。」

「愛はコーヒー一杯をただ入れるだけなのに、全生徒が帰った放課後、真っ暗になってもずっと練習してたんです。
私は何も知らず、先に帰ってた。
愛は両親に心配かけまいと、リビングに行かず私のとこへ来ました。
その時の愛の姿ときたら……。
足は傷だらけ。
でもそんな傷は見慣れてたから驚くことではなかった。
私が驚いたのは手。
愛の雪のような真っ白な手や指は真っ赤になってて、理由を聞いたら、“もうコーヒーとかはバッチリだよこれで私、李依菜や生徒会の人達の役に立てる”って、ホントに嬉しそうに笑顔で言うんです。
愛は人に隠れて頑張る子だから。
これでもまだ普通だって言いますか?」

「そういう恋だって隠れて頑張る子でしょ。
先生、私達はみんなと区別されないように頑張ることが、私と恋の“普通”なんです。」

愛はきっぱりと言った。
恋は嬉しそうに愛を見上げて微笑む。

先生は、

「あなた達は本当に仲が良いのね。
私が言うことじゃないけど、桐谷さんをよろしくね。」

と言って、生徒会室を出ていった。
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