2月からの手紙

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「あ」
「え、小鳥遊くん? なんで?」


鍵を閉めて駆けだしたところで、なんと小鳥遊くんと会ってしまった。

心の準備ができていないんですけど。


「どうしたんだよ、来ないから心配したんだぞ」

「あ、ごごごめんなさい!」

「具合、悪りいとかじゃなさそうだな?」

「あっ、全然! 超元気。実は……浴衣がうまく着れなくて」

「なんだ、そんなことなら。俺が着せてやるから、一回お前ん家戻るぞ」

「へっ? え、でも、部屋散らかってるし、別にこれでも」

「部屋なんか俺の方がスゲーから。花火といえば浴衣だろ」


小鳥遊くんがそう言って、私の手を引いて家の方へ歩いて行く。

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