秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
「毎日顔を見るのに、一緒に過ごせないのはきついな。さっきみたいに他の男と仲良くしているところを見るのも」

「……ただのクラスメイトだよ」

「外で煙草吸ってたら、夏瑛が男といるところが目に入ってさ。夏瑛はおれのものだっていう、印をつけたくなった……」

 そんな心配いらないのに。
 日に日に、靭にいちゃんへの想いはこぼれそうなほど募って、苦しいのに。

 靭也は夏瑛の心を探るように見つめてくる。
 それから長いまつ毛を伏せて、恥じ入るような小さな声でつぶやいた。

「ごめん。大人げなかったな、こんなことして」
 返事のかわりに、夏瑛は自分からキスした。
 うれしかった。靭也が嫉妬してくれたことが。
 いつも心を覆っている不安の靄(もや)が少しだけ晴れた気がした。
< 25 / 73 >

この作品をシェア

pagetop