秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
「はあー、素敵な人。先生の奥さん……」
 そういえば、美岬は叔父のファンだった。

「でしょ。昔っからわたしの憧れの人だったんだ」

「あーあ、先生と奥さんが別れる可能性はゼロだねぇ」

「そりゃそうだよ。もう結婚してだいぶ経つけど、今でもラブラブだよ」

 美岬はだいぶショックを受け、ピーマンと玉ねぎに八つ当たりしている。

「よし、決めた」と顔を上げると、美岬は持っている包丁を振りかざした。
「み、美岬、あぶないよ」
「先生の妻になるのは無理でも、教え子ナンバーワンを目指す!」

 この立ち直りの早さ、素晴らし過ぎる。
 とても真似できない。
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