秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて

6)

「今日は帰ります。先生、奥さん、本当にすみませんでした。せっかくの誕生日パーティーで騒ぎを起こしてしまって」
 美岬はまた頭が床につきそうなほど、頭を下げた。

「ああ、ぜんぜん気にすることないよ。正義感が強い子なんだな。君は」
 叔父の言葉に固かった美岬の表情が少しだけゆるんだ。

「また、今度、改めて遊びに来てちょうだい。夏瑛ちゃんと一緒に」
 貴子もそう言ってクッキーを入れた紙袋を手渡した。

「じゃあ、そこまで送ってくよ。もう暗いから駅までの道順、わからなくなりそうだし」

「そうだね。じゃあ、お願いする」
 夏瑛は美岬と連れ立って表に出た。
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