戦争に塗れたこの世界はボードゲームで勝敗をつけてしまうようで。
理事長が大声で叫ぶ。

そうだ私は能力者だ。

だから何だと言うのか。

しかし女共には何か効いた様で私から手を離した。



「言わなくても分かってるね?」



「…どの様な処罰でも受けます。」



此処では能力者を手荒に扱ってはいけないらしい。

別にそんなのどうでも良いじゃないか。

…コイツらもオキテに縛られてる。

ああ、面倒だなぁ。

後で絶対なんかあるだろうこれ。



「コホン…理事長殿。」



咳払いをして理事長に話しかける。


「何かね?」


「此処では能力者を手荒に扱っては
 いけないのですか?」


「ああ、うちでは数少ないからね。」


「手荒に扱えばどうなるんです?」


「良くて一週間、悪くて一ヶ月謹慎だ。」


「じゃあこの人も?」


「いや、周りの人達もだ。」


「でもさ、こんな大勢を一度に謹慎してしまっては
 戦力が一気に下がってしまうし、
 この時期に敵に狙われたら終わりなのでは?」


「何が言いたいのかな?」


「いいえ、私からはこれで終わりです。」


別にこの女共を庇いたかった訳ではない。

ただ何となく口から出ただけなのだ。

この女共がどうなろうと私には関係ない。

さっさと中に入りたい。

先刻から本当に面倒な事ばかりだ。


「…君の処分はまた後だ。」


「…申し訳ありませんでした。」


その会話でこの問題は終わった。

面倒なものだ。

この女共も、この異能力も、この糞みたいな世界も。

何もかもが私にとって邪魔でしかない。

私はこんな世界に産まれたかったんじゃない。

生きやすい世の中にならないものだろうか。

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