1日限定両想い

『できない…』


永遠のように感じた沈黙の後で須崎が呟いた声は小さかったけれど、しっかりと耳に届いた。



『そんなことできません。』

「なんで、」

『菊池先生がいなくなったからってそんな…』

「須崎を頼むって言われたんだ。」

『え?』


こんな意味じゃなかったかもしれない。

ただ純粋に、生徒である須崎の進路とか将来とか、そういうことで言ったのかもしれない。

でも頼むと言われたことに対する結果や答えを伝える術をなくした今、都合よく解釈することでしか前を向けなかった。



「ずっと須崎に対して生徒以上の感情があることに気付いてた。須崎の支えになりたくて、俺が守ってやりたくて…でも、」

『先生?』


言葉に詰まる俺を須崎が心配そうに見上げる。

どうしても頭に浮かんでしまう、須崎を必死で守ろうとしていた菊池先生の姿が。



「菊池先生も、ずっと須崎を想ってた。」

『え…?』


何度も向き合ってきた、不器用にも須崎を救おうとする姿が。

今でも鮮明によみがえってくる。



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