1日限定両想い
「荷物ここ置くぞ。」
『ありがとうございます。早速キッチン借りますねー。』
小さなキャリーバッグは明らかに1泊分だ。
明日になれば帰るのかと、当たり前のことを寂しく思う。
「やっぱりどっかで食べて来たら良かったのに。」
『ううん、いいの。』
夕食を食べに行こうと誘ったが、作るから家で食べようと言われスーパーへ寄ってきた。
キッチンに立つ須崎は、新鮮なようでいてどうしようもなく懐かしかった。
俺に差し出したポテトサラダ、綺麗なお弁当。
おばあさんを亡くしたという新田の言葉を思い出す。
『え…?渉さん?』
「ごめんな。おばあさんのこと何も知らんかった。」
レジ袋から野菜を取り出していた背中をそっと抱きしめると、懐かしさは一気に愛おしさへと変わる。
ただ離れていた時間を埋めたかった。
隣で知ることのできなかった出来事を受け止めたかった。
『渉さんが謝ることじゃないよ。』
「でも、辛かったやろ。」
『それは…』
途切れた言葉の先に想いを馳せる。
俺の中には、おばあさんの為に必死で生きていたあの頃の須崎の記憶だけが残っている。