愛は惜しみなく与う④
泉はサッと俺の目を大きな手で覆った
『目つむっとけ。もう、頑張らなくていいって言ったろ?』
その声は、俺が向けられてきた言葉の中で
今まで聞いた、どんな人の声よりも優しかった
だから俺は言われた通り、すっと目を閉じた
目を閉じると一瞬別の世界にいるような感覚に陥った
その時
泉が何をしたのか
父親や女、大和に何をしたのか、声だけは聞こえていた。
けど目を閉じて深呼吸すれば、その時は何も聞こえなくなった
次に目を開いたのは
『終わった』
そう泉に言われた時だった
目を開けると家の外にいた。
あれ?
そして泉は顔に傷を増やしている
でもとても笑顔で言った
『帰るぞ』と
その片手には自分のランドセルと、俺のランドセルを持っていた
『聞き忘れてたけど、お前何歳?』
『…10歳』
『そうか。俺は12歳だ』
はっ
本当に笑えるよな
自分を救ってくれたのは、大人や、周りにいる人ではなく
自分より2歳年上なだけの
ぶっとんだ小学生だった
----
『目つむっとけ。もう、頑張らなくていいって言ったろ?』
その声は、俺が向けられてきた言葉の中で
今まで聞いた、どんな人の声よりも優しかった
だから俺は言われた通り、すっと目を閉じた
目を閉じると一瞬別の世界にいるような感覚に陥った
その時
泉が何をしたのか
父親や女、大和に何をしたのか、声だけは聞こえていた。
けど目を閉じて深呼吸すれば、その時は何も聞こえなくなった
次に目を開いたのは
『終わった』
そう泉に言われた時だった
目を開けると家の外にいた。
あれ?
そして泉は顔に傷を増やしている
でもとても笑顔で言った
『帰るぞ』と
その片手には自分のランドセルと、俺のランドセルを持っていた
『聞き忘れてたけど、お前何歳?』
『…10歳』
『そうか。俺は12歳だ』
はっ
本当に笑えるよな
自分を救ってくれたのは、大人や、周りにいる人ではなく
自分より2歳年上なだけの
ぶっとんだ小学生だった
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