愛は惜しみなく与う④
バランスを崩し、すぐに背中にトンと当たったのは泉の身体

そして耳元でそう言って、泉はあたしから離れた


焼いた?
や、いた?
妬く…


「ん、杏どうしたんだ?ちょっと顔赤いぞ?人酔い?」

ピョコっと響が隣から出てくる
びっくり

顔赤い?あたし?自覚なかった


「何ともないよ!そろそろ皐月ちゃんくる頃やろ?待ち合わせ場所いこ!」


大きな鳥居のそばで待ち合わせ
なんか今は、みんな早く来て欲しかった

ドクドクと少し早くなった心臓の音を、誤魔化したかったから


「泉、大丈夫か?変なことされてない?」

「あぁ、大丈夫だよ」


響はよかったー、あんな変な女に泉がやられちゃうかと思ったよ、とホッとした様子


「あれ?何で機嫌いいの?あーゆう囲まれたりするの嫌いじゃん」


そう言う響に、『内緒』


そう一言だけ返事して、あたしと響の前を泉は歩き出した


決して気づかないフリとかじゃない
純粋にあたしはこう言う感情に疎すぎて、ただただ、よく分からへんかった。

自分の行動と感情に、頭が追いついてなかった


パタパタと手で顔を仰ぐ


暑いな

これは夏のせい



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