愛は惜しみなく与う④



重くのしかかる言葉


俺に与えられた2択は、親父の死を左右する



泉や慧、響。それに新

何があっても、嫌なことをされても、いい思い出がなくても…


杏だって…



自分の親は大切にしていた


何が嫌だとしても、自分の親だからと。



あいつらみんな、優しいからさ




でもさ

俺は違うから



「別にいいよ」



別にいいんだよ、本当に



「そうか。じゃあ明日からさっそく手伝ってほしい仕事があるから、昼過ぎにもう一度自分で来るんだな」


ちがう



「別にいいって言ってんだろ?」

「は?」




「あの男を殺せば?って言ってんだよ」



俺は優しくないから

俺を捨てた奴らなんて、俺は知らない。


薄情だと思われても気にもならない




だって俺にはもう


新しい家族みたいな、仲間達がいるから



どこかの一室で怪我の治療をされている。その場にいた、見たこともない男は、ぽかんと口を開けたままだ


「父親だろ?」

「昔な。今は違う。他人だ」
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