愛は惜しみなく与う④
「わかった、それでええでよ。皐月ちゃん。これ、いま泉に繋がってるねん」


ポケットから携帯を取り出す

スピーカーにしてないけど、泉の声が漏れてる。あたしの名前を呼ぶ


「泉に、すぐ来てって言うといて。そんであたしは、大丈夫って。伝えといて」

『杏、いくな』


声が聞こえた。
泉って、こういう時、大きい声出るよな

加古がどんなやつか知らんし、着いていくのはちょっと嫌やけど…

皐月ちゃん守ったらなあかんしな

女の子の弱みに漬け込むとか、最低以下や。


杏ちゃんと弱々しく呟く皐月ちゃん
目には涙が溢れている


「こんな守り方しかできひんくてごめんな」


これじゃあ皐月ちゃんもまた自分を責めてしまう

でも大丈夫。泉は来てくれる
しっかりと皐月ちゃんに携帯を渡して、加古の元へ行く


「賢い女でよかった」

「馬鹿な男でよかった」


言い返してやると、少し驚いた顔をした後に、ふんと鼻で笑った


さてと

泉に復讐か…
きっと新のために、泉が加古とやりあったんやろうな。
それで復讐って、泉が少しかわいそうやわ


くっそーーせっかくの楽しいお祭りやったのに。困ったもんやで。

ま、皐月ちゃんのそばに居たのがあたしでよかった。



早く来てな、泉



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