愛は惜しみなく与う④
「赤羽組が捕まると、都合がよくてね」


水瀬の言いたいことが俺にはわからない


「もう、サトルが待てないって。我慢できないって言うから…早く、あんたをサトルに渡してやりたいんだよ」


その視線は杏の方へ向き、志木さんは水瀬の胸ぐらを掴み立たせた



「杏様を…あの男に渡すわけないでしょう!」


「でも、この摘発が早まったことにより、そうなるしかないんだよ。サトルの元へ、女が自ら行くことになる」


訳がわからない

どうしてこの摘発が早まったことで、杏がサトルの元へ行くことになる

意味が…わからない



「……冤罪?」



ポツリと杏は呟いた
その言葉を聞いて、水瀬はにやりと笑った


冤罪?どういうことだ

でも志木さんも、ハッとして水瀬を掴む手を離した



「誰かを…刑務所から出すつもりやろ」


もう頭は追いつかないし、今此処に立ってるだけでもやっと。そんな空気の中で話は進んでいく



「赤羽組捕まったら…冤罪で捕まってる奴がでてこれる?どうや?そんな感じやろ」
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