イルカ、恋うた

闇の司法取引

数日後、木田のもとに佐伯氏から、手記と調書と鑑定書が送られてきた。


木田がそのコピーを、送ってきた。



手記


『199X年、初春。ある組織が、麻薬を闇取引により、海外から大量輸入したと情報が入った。

しかし、あくまで前科者の間の噂だった。それだけに、信憑性はあったはずなのだが、肝心の証拠がなかった。

何より、その組織が曾流会であるかも、不明瞭だった。

その後、ある中学生が、売春未遂で補導。薬を買えなくて、とのこと。既に、他の若者が逮捕されていく中で、苛立ちと焦りを溜め込んでいた私は、組織に対し、逆恨みさえ感じていた。

そして、ある時、事件が起こる。野村巡査が銃を奪われ、刺殺。間もなく、犯人は捕まる。しかし、驚いたことに、十八の少年だった。

彼は、仲間だった少年が抜けたいと言い出したため、ケンカになって、その最中に殺してしまった。

他の仲間にアリバイ工作してもらっていたが、野村巡査だけは、自分をまだ疑っていた。

あの公園で話し合おうと言われ、彼ともそこで争いになり、カッとなって、持っていたナイフで刺してしまった。

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