イルカ、恋うた
《8》

イルカ達の離別

到着すると、野村巡査に花をたむけ、両手を合わせている。


傍にいた岩居さんと、水族館の時のように別れた。


車のキーを受け取る。

その際に「今日は文句言わないんだな」と彼は言った。


だって、今日はたぶん、すごく大事な話だから。


二人の関係を左右するかもしれない…


まだ黙祷してる彼女の横で、俺も手を合わせた。


「彼は優秀な警察官だった。もっと、早く出会いたかった」


俺のその言葉に、美月も、


「うん、私も会ってみたかった」


二人で近くのベンチに座った。


隣から流れてくる、悲哀な空気に、これから彼女が話す内容を、予想できた。


「パパと話をしたの。あの日、竜介が帰った後、今度は私が呼ばれた」


きっと、あの話をしたんだ。


予想は当たり、彼女は震える声で言う。


「イギリスに行きなさいって。

昔、出張した時に、友達になった家族で、ずっと連絡も取り合ってた信頼できる人達で、ホームステイをさせてくれる。安全だからって。

通訳の勉強できるよう、そんな場所も紹介してくれるはずだからって言うのよ」


うつむいたままの彼女に、俺はゆっくりと語る。


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