イルカ、恋うた
「そいつは曾流会。つまり、その筋のもんだった。
そいつは今回の事件を首領の指示だった、と供述したらしい。お陰で、家宅捜査まで入る。

そしたら、麻薬まで発見。その後、組は解散」


「はぁ、“そりゅうかい”ねぇ。でも、よく言うよな。

その手の輩って、警察に密着しているタイプもいるんじゃない?その性質じゃないんだ?」


って刑事の自分が言うのも、何だけど…


「もしかしたら、看守の買収も失敗したかもな。首領は警察病院で死んだ。一応、癌だったらしい。

それを逆恨みした元組員がいるんじゃないかと思って。崇拝の世界だろ。何年経っても、積年の恨みは消えないのかも」


「でも、なんで今更。十三年も経って。まぁ、人間。きっかけがありゃ爆発する生き物だけど…」


俺が首を振ると、木田は言う。


「たださ。なんか裏があるような気がすんだよ。考えてみろ。崇拝する首領を売る部下がいるかぁ」


「……何が言いたいんだ?」


と問いながら、俺は何故か構えてしまった。


一方、木田は一呼吸置いてから、返答した。

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