イルカ、恋うた

少女の涙

岩居さんは、俺を見つけると、疲れたように微笑した。


木田が、その女性を「若くて綺麗なカミさん」と言ったのは、美月だった。


岩居さんは、割りと嬉しそうに笑う。


「いや。警護を兼ねたデートもいいもんだね。俺、久しぶりだよ。若い子に付き合ったの。今じゃ、娘から無視だし」


はぁ、いくら身辺警護って言っても、堂々と荷物持ちで使うなんて、検事正の娘だから、許されてるようなもん…


木田は、美月に関心を示した。


「警護って?」


「お前、口柔らかいだろ?」


「美人の秘密は堅いって。誰、この美人。お前とどういう関係?」


美月は一瞬合った視線を反らした。


ま、俺もなんとなく見られないけど…


「佐伯検事正のお嬢さんで、本庁が捜査を担当するから、所轄の俺達は身辺警護」


木田は警護より、本庁が一切をしきっていることが気になったようで、「またか」と呟いた。


「木田?」


「さっきの事件も、本庁が全て担ってたって言うぜ。公開する内容も制限されてたろうな」


俺達が小声で会話してる傍で、岩居さんが携帯を耳に当てながら、何度も頭を下げてる。
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