イルカ、恋うた

疑惑と疑惑

『警察官殺人事件』を検索してみる。


HITは百を超えた。


「竜介、何調べるんだ?」


パソコンの横から、岩居さんの顔が飛込んだ。


「勝手に覗かないでください。ちょっと、過去の事件で気になることがあって……」


カーソルを下げていくと、一件に目がいった。


『T区の公園に、銃を抜かれた警官の遺体』


これが見出し。


「十三年前の今頃か……。岩居さん、知ってます?」


「ああ、確か所轄の刑事が苛立ってたらしいぜ。今回と同じように、本庁の捜査課が突然割り込んできて、奪われたってな。
まあ、あっという間に解決した上、手を焼いていた曾流会を一掃してしまった、と最後は感謝してたがな」


岩居さんは腕を組んだ。


竜介はためらったが、話を聞いてみたかった。


「…担当してたのは、当時検事だった、佐伯検事正ですよね?」


彼は表情をこわばらせた。

「お前、何が言いたい?曾流会はもうない。他の組員だってどうしたか…。まさか、十三年前の復讐してる、と言うのか?」

俺は否定しなかった。

かといって、頷きもしなかった。


そんな姿を見て、岩居さんは苦笑した。

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