君のいない場所で私はどうしてると思う?

ピピピッ ピピピッ

「んんっ………。」


ついにこの日が来た。

私にとっても斎藤にとっても緊張する日。

斎藤が手術する日。

私は昨日LINEで文じゃなくて、直接電話で3時間くらい話してた。

お互い本音を言い合ったりできたからよかった。

だから今日はほんの少しだけ安心できる。


「頑張って……斎藤」


私は空を見ながら斎藤を思い出してついつい言ってしまった。





「今日だね、斎藤」

「うん、斎藤なら大丈夫。女の子以外には強いから。」

「プッ…なにそれっ…」

「ちょっと、なにが面白いのよ。」

「いやー?なんかひな斎藤こと知りすぎてないかなって」


そんなのあたりまえあたりまえ。

どんだけ斎藤のこと知ってきたと思ってんのよ。





キーンコーンカーンコーン

「これで四時間目は終わりです。お昼ご飯の挨拶するから5分後には席着いててね」

「はーい」





「まーだ治んないのねそれ。」

「当たり前でしょ、本は大切なの」

「じゃあ斎藤とどっちが大切なわけ?」


っ…。

なんか問いかけてくるって思ったらこれか。

でもそんなの一択。

斎藤に決まってる。

斎藤のためなら本だって捨てられるんだから。



「ねーえーどっちー?」

「そんなの…一択しかないじゃん」

「どっちよ」

「斎藤。」

「おおっ!聞きましたか?!皆さん!!今木下が本より斎藤が大切と言いました!!」

「ちょっと!!高橋あんたいい加減にしなさいよ!!」


これだから高橋は嫌い。

でもここに本人がいなくて良かった。

本人にさえバレなければいいから。
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