俺のこと好きでしょ?-六花の恋-【完】

疲れたように肩を落とすお兄ちゃんの向こうには、丸眼鏡の小柄な女の子がいた。

髪は一つにまとめて三つ編みにしていて、胸の方へ流している。

「お、お、王子がいい子いい子してた……まさか王子の本命カノっ――」

「んなワケあるか! 妹だよ」

……あはは。お兄ちゃんと私、似てるとこないからなあ。

「妹さん⁉ 司家ってどういう遺伝子してるの⁉ 美形の家系⁉」

……? なんかテンションの高い方だなあ。もしかしてこの人がお兄ちゃんの好きな人?

「うるせえな……」

あ、違うっぽい。好きな人に意地でも悪態をつくのは私の兄じゃない気がする。

「なんで坂野がいんの」

「祖父の十三回忌の相談に来たんだけど、お父さんとご住職さんが話し込んじゃったから暇つぶしにぶらついてるだけ。おう――司くんは?」

「ふつーに墓参りだけど。あとこれ、妹の羽咲」

「名前まで可愛い! はじめまして。坂野千波(さかの ちなみ)です。えーと……お兄さんの彼女の友達……でいいのかな?」

「那也とはまだ付き合ってねえよ」

「まだ、ってことは付き合いたいとは思ってるんだ?」

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