雨の日はそばにいて抱きしめて


あのラピスラズリのペアリングは
カリーナに展示した途端に凄い反響で

店内から伸びる行列に夕方のローカルニュース番組で取り上げられた程

でもその所為で

今度は違う意味での問い合わせに頭を抱えることになった


それでも・・・

もしかしたらこの人気の後押しに
作家コーナーではなくて
定番に並ぶ商品になってくれれば良いと

社内は歓迎ムード一色だった



「せんぱーい、今日ですよね?」



仕事も落ち着いてきたからか
絢音から多く声がかかってウザい


「絢音!仕事中!」


何度注意してもメゲない絢音に
最後は負けてしまう私もどうかと思う

でも・・・

麻人とのことを思い出す余裕もないくらい

目まぐるしかった毎日には
小波と絢音がいつも寄り添ってくれた


「定時ね」


思い直したように絢音に視線を合わせると


「はーい」


語尾にハートマークが見えるようだった





。






「楽しみ〜」



「楽しみじゃない」



嫌々、渋々・・・
不本意乍ら・・・って雰囲気を出しながら

絢音に手を引かれてやって来たのは
レガーメの向かい側にある駅横の老舗デパートで

慰労パーティー用のドレスを買う為だった


「プロポーズ用に可愛いのにしましょ」


「嫌よ」


「せんぱいは何色でもお似合いです」


「もう26よ!」


くだらないやり取りをしている内に
気が付けばショップにたどり着いていて

2年前にも見たお姉さんが
変わらない妖艶な笑顔で迎えてくれた


「じゃんじゃん試着しましょう」


乗り気の絢音を余所に
私の視線は真っ直ぐ壁のディスプレイに向けられていた



< 44 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop