みだらなキミと、密室で。



「おはよ」

「ん」

家のチャイムが鳴り重い足で玄関に向かえば、何やらニヤニヤした遥琉がスカした格好をして立っていた。

気に食わない。

「なにその明らかにふて腐れた顔。挨拶ぐらいちゃんと言いなよ」

「ん」

ドアを開けた瞬間目に入った遥琉は、悔しいけどカッコいいって言葉がよく似合ってて。

それが私の気に障ったから明らかに不機嫌な態度になってしまう。

見た目で並んだとき私と遥琉が不釣り合いなのは自分でも十分わかっているから。

「今日千秋さんは?」

「寝てるよ」

「え、まじか。チャイムうるさかったよな〜起こしたかな?」

「うん、遥琉のせいで起きたと思う。ママ可哀想」

「……ごめんって」

「自分で謝れば?」

「……」

自分でもこんな態度、変なことぐらいわかっている。

でも私は怒ってるんだ。

一番は、遥琉の横を堂々と歩けない自分の惨めさにたいして。
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