みだらなキミと、密室で。

どうして遥琉はそうやって、傷口をえぐるような言い方をするんだろう。

近いと思ったら次の瞬間にはすぐ遠くにいっちゃうみたいな。

なかなかうまくつかめない。

宙に舞ったタンポポの綿毛みたい。

「……あ、そう」

どうしてこいつなんだろう。
自分でも何度もそう思うよ。

「海風との約束を守れなかった俺に、ここでの時間を懐かしむ資格なんてないから」

「え……」

夕日が沈みかけている。

わずかにオレンジの空が、遥琉を照らしていて、その横顔はあまりにも綺麗で切なくて。

喉の奥が痛くなって、泣きそうになる感覚に襲われる。

やっぱり好きだと、何度でも思ってしまうから。

ねぇ、遥琉。

どうして、私の前から消えちゃったの。
< 223 / 300 >

この作品をシェア

pagetop