一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
少しすると、璃子が戻ってきて、俺の手の具合を確認した。
「よかった。少し腫れが引いたね」
俺の手を見てニコッと微笑む彼女。
人の痣の心配よりももっと自分のことを気にしろよ。
「匡もお風呂入って来たら?」
「ああ」
小さく返事をしてバスルームに行く。
風呂で汗を流してリビングに戻ると、璃子がまたソファで寝ていた。
その寝顔は、うちに来た時よりも少しふっくらしているように見えた。
抗がん剤治療をやめて少し体重が戻ったのだろうか?
元気な頃よりも痩せてはいるが、彼女が苦痛で顔を歪めているところは見たことがない。
今、痛みはないのだろうか?
そう言えば、スーパーで声をかけた時、マスクをつけていたんだよな。
あれは感染症予防のためだろう。
あと三ヶ月の命。
それは、今年のクリスマスまでということだ。
誕生日プレゼントの話をした時、彼女は欲しいものがないって言っていた。
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