一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
ワクワクしながら私もシートベルトを外すと、彼は保護者のように注意した。
「寒いからコート忘れずに」
「はーい」
上機嫌で返事をしてコートを羽織って車を降りると、彼が助手席側に回って来て私の手を掴んだ。
「展望台に行ってみよう」
匡が歩き出すが、彼の手が気になった。
大学でも掴まれたが、その時とは状況が違う。
「匡……あの……手を掴まなくても大丈夫だよ。さすがに迷子にならないから」
私の主張に彼は不機嫌顔になる。
「迷子にならなくてもナンパされるかもしれないだろ?お前、警戒心が足りない」
これはひょっとして久野先生のことでまだ怒っているのだろうか。
なんか匡ピリピリしてる。
「はい、すみません」
素直に謝って、大人しく彼に従いついていく。
ここで反論したらガミガミ叱られそう。
匡と展望デッキに向かったが、そこからは三百六十度海が見渡せた。
「わ〜、夜景が綺麗〜!」
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