一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
俺がそう返したら、弟はいつもの優しい声のトーンで俺に頼んだ。
『まあまあ落ち着いて。璃子ちゃんは家族みたいなものなんだから、追い出さずにおいてあげてよ』
あまり追及するなってか。
これ以上聞いてもこいつは答えないだろう。
「だったら質問を変える。どうして璃子はあんな痩せたんだ?」
『俺に聞かれても困るんだけど。夏バテじゃない?それとも失恋かなあ』
とぼける直に余計イライラした。
「お前、俺をおちょくってるのか?」
語気を強めれば、直はクスッと笑う。
『さあ、どうだろうね。でも、璃子ちゃんの心配をする兄貴はやっぱり優しいって思うよ』
「お前は……そんなこと言って話を誤魔化すつもりだろ?」
クシャッと髪をかき上げて苛立たしげに言い返したら、弟は急に真面目な声音で俺に警告した。
『誤魔化しているつもりはないけど、兎に角、璃子ちゃんを泣かしたら、兄貴を許さないからね』
ブチッと一方的に電話を切る直。
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