俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
「浦部さん、日暮里支店から提携ローンの問い合わせが入ってるのですが……」


おずおずと切り出してきたのは由真ちゃんが指導担当を務めている入社二年目の女性社員、満川(みつかわ)さんだ。

提携ローンは各取引先と当社で独自の金利優遇やルールを制定しているものだ。


「どこの会社の提携ローン?」

パソコン画面から目を離して、私の斜め向かい側に座る彼女に尋ねる。


私の席はフロア入り口のカウンターに一番近い列にある。

ふたつの机を向かい合わせに並べてひとつの列を作っている。

室内の一番奥に近い場所が私の席で、その左隣が由真ちゃんの席だ。

彼女は現在電話応対中で手が離せない。


北前(きたまえ)電気様のです。従業員の方の金利優遇についてなのですが」

制度についての問い合わせは往々にある。

各支店はお客様と直に対応しているため中途半端な内容は伝えられない。


「制定幅以上に優遇できるかと聞かれたんです」

「私たちには優遇幅は決められないわ。北前電気様の取引支店は確認した?」

「日暮里支店じゃないんですか?」

その反応に心の中で溜め息をつく。

先月にも同じような内容の問い合わせがあり、きちんと対応方法を伝えたつもりだった。
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