俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
澄んだ強い光を綺麗な目に宿らせて言い切る声に、迷いはなかった。

毅然とした態度は元々整った面立ちを一層魅力的に見せる。


なにがそれほどこの人の背中を押したのかわからないけれど、前に進むための相手に私を選んでくれて嬉しかった。

胸の中に柔らかく温かな火が灯る。


この人が戦う場所のそばにいて守りたい、手助けしたい、素直にそう思った。


「私で、よかったら」

小声で呟くとふわりと表情を崩す。

この人はこんなに無邪気に笑う人なのだと改めて知り、胸の奥が熱くなった。


「じゃあ早速準備しよう」

言うが早いか、デニムのポケットからスマートフォンを取り出して、電話をかける。

数分後にはピカピカに磨き上げられた黒塗りの車がカフェの前に横づけされた。


「沙和、乗って」

後部座席のドアを開けて促される。

「ちょ、ちょっと待ってください、どこに行くんですか? それにこの車って……」

「車の中で説明する」

有無を言わさず押し込まれ、愁さんも右隣に腰をおろす。

近すぎる距離に体温が上がっていく。


「浦部様、ご無沙汰いたしております」

前方から声をかけられ視線を動かすと、運転席に座っていた男性は津田さんだった。


「津田さん? お久しぶりです。あの、どうして」

「社長に呼び出されました。デートのお邪魔をしてしまって申し訳ないのですが……とりあえず出発いたします」

当の愁さんは悠然と座っているだけで、状況がつかめない。


困惑して見つめると、いたずらっ子のように片眉を上げていた。
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