俺の妻は本当に可愛い~恋のリハビリから俺様社長に結婚を迫られています~
すずには、事情と気持ちをすべて打ち明けていた。

初恋でも十代でもないのに、涙ぐんで話すみっともない私を、心優しい親友は心配し、何度も本心を打ち明けて話し合うように忠告してくれる。


けれど、どうしても頷けなかった。


今さらなにを話せというの?


気づいてしまった恋心はもう取り消せない。

どんなに誤魔化してもあの人を知らなかった頃の自分には戻れない。


結果のわかっている恋なんてしても仕方がない。

相手を困らせて自分をみじめにするだけ。


少しでも優しくされたらもしかして、と期待してしまう。

後々落ち込むのもわかっているのに、弱い私はきっとその手にすがりたくなってしまうから。


課長に片思いをしていた頃とはまったく違う胸の痛みが、日々私を苛む。

今思えば課長への気持ちはほぼ憧れに近いものだったと思い知る。

失恋をしてショックを受けていても、相手の幸せを願えたし、自分の気持ちを理性的に抑え込めた。


今は違う。

必死で自分を抑え込んでも、ふとした瞬間に気持ちが溢れそうになってしまう。


自分を見てほしい、想ってほしいと願ってしまう。

自分がこんなにも欲張りで諦めの悪い人間だとは思わなかった。


誰かを好きになることがこんなにも切なくて悲しいなんて知らなかった。

出会ってほんの少ししか時間は経っていない。

しかも話をした時間なんてとても短い。

それなのにあの人はこれほどまでに私の心を占領してしまった。


本当の意味での初恋は苦い思い出として心に刻まれていく。 
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