さよならを教えて 〜Comment te dire adieu〜

——あんまり、考えないようにはしていたんだけどなぁ……

とたんに、鼻の奥がつん、とした。

——や、ヤバい……

知らないうちに、どうやら「限界値」に迫っていたようだ。

堰を切ったかのように、みるみるうちに涙が込み上げてきた。

思わず、ズズッと(はな)を啜る。


「……どうした?」

眠っていたはずの茂樹が、薄目を開けてこちらを見ていた。

もともと眠りの浅い彼は、少しの物音でも目覚めてしまう。


大丈夫、なんでもない……そう言いかけたそのとき——

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