秘密の恋はアトリエで(後編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
「で、大学時代の靭のことが訊きたいって?」

「はい」

 あの時、北川が口にしていた、
 
 靭也が振ったために自殺未遂した女性がいたという話の真偽を確かめたかった。

 仮にそんなことがあったとしても、何か理由があったはずだ。

 理恵ならきっと真相を知っているだろう。

 夏瑛は、これから先、心に一点の曇りもない状態で靭也に向き合いたかった。

 理恵はにっこりと微笑んだ。

「そんな緊張した顔しなくても大丈夫。あの事件に靭はまったく無関係だよ」

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