しあわせ食堂の異世界ご飯6
 スプーンをグラタンに差し込むと、とろりとしたホワイトソースに喉が鳴る。そしてそこから顔を覗かせるのは、ほくほくのかぼちゃとブロッコリー。
 ゆっくりスプーンを持ち上げると、チーズがこれでもかと伸びてくる。思わず自分の目線の高さまでスプーンを上げてしまったほどだ。
 とろりとしたチーズは、何度見ても食欲を容赦なく刺激してくる。早く、早く食べたいのだという衝動に駆られてしまう。
 しかしこのままでは、一向に冷める様子がない。
「……ふー、ふー」
 シャルルが湯気の出ているグラタンを冷まそうとするも、それくらいで熱々の湯気が消えるわけがない。
 しかしもう、シャルルとてこの暴力的なまでに濃厚な香りや見た目から逃れられない。
「ん……」
 恐る恐るスプーンに口をつけると、ダイレクトにその熱が伝わってくる。けれどそれよりも、一瞬触れただけでわかってしまうグラタンの魅力に打ちのめされた。
 熱いから、なんて――冷めるのを待っていられない。
「いただきますっ!」
 思いっきり口の中にグラタンを入れ、シャルルが「ん~~っ!」と声にならない叫びをあげて、ぎゅっと目を閉じる。
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